ゆらゆら帝国(2nd) / ゆらゆら帝国 | Blue Monday だより

ゆらゆら帝国(2nd) / ゆらゆら帝国


yura2nd


 amazonに売ってないどころか,全く入手すら困難な作品を紹介してもどうしようもないとは思うが,たまにはね。


 『ゆらゆら帝国III』というアルバムをご存知か?ゆらゆら帝国の6枚目のスタジオ録音アルバムである。6枚目なのに「III」だ。何故そうなっているのかといえば,メジャー移籍後の3枚目という単純な理由である。私はゆらゆら帝国を最高に素晴らしいロックバンドと思っているが,こういう姿勢はいただけない。インディーズ時代はなかったことにしたいのか?まあ,上のとことんキモいジャケットが今となっては恥ずかしかったりもするのかもしれないが,そうじゃないだろう。中身はメジャー移籍後に劣らずどれも最高の作品だろう。


 今回取りあげるのはたまたま2ndだが,1stでも3rdでも良かった。1stのちょっと単調だが,ゆらゆら帝国史上最高の不気味さも捨てがたいし,GS的なサウンドで,急激にメロディが良くなった3rdも最高だ。

 この2ndは,1stの不気味さを残しつつメロディメイカーとしての坂本氏の才能が開花した最初の作品だ。「人間やめときな」「魚ちゃん」「心は半分」等々今でも通用する名曲もある。坂本氏の書くメロディーは,多分三上寛あたりの日本のアングラフォークの影響が強いのだろうと思わせるが,それとは別にピーター・アイヴァース的な屈折した軽やかさが必ず存在するのが大きな特徴だ。


 見てはいけないものがある。でも人間はそういうものほど見たいと思ってしまう因果な存在だ。その見てはいけないものを見たあとには「見なければよかった」と後悔してしまう場合も多いのが人生だけど,なんだかクセになって,ニンマリしてしまうこともたまにはあるだろう。


 ゆらゆら帝国の音楽というのは,多くの人をニンマリさせる,そういう魅力を持ったものだ。そしてこの2ndは,見てはいけない度の高さとニンマリ度から,個人的には最高傑作なのだ。



ゆらゆら帝国(YURAYURA TEIKOKU)
アーユーラ?(ARE YOU RA?)

↑何故か全く廃盤にならない3rd。手に入りやすさから,入門にはこちらがいいかも。レーベルは,天下のキャプテントリップ です。