Electoric Meditation / Tangerine Dream | Blue Monday だより

Electoric Meditation / Tangerine Dream

タンジェリン・ドリーム
エレクトロニック・メディテイション(紙ジャケット仕様)

 Tangerine Dreamは,今も現役である。まずそこに驚く。そしてこの1970年に発表された1stアルバムを聴く。そしてぶっとぶ。

 知らない人には意味がわからないと思うが,Tangerine Dreamといえば,70年代のVirginからの作品が有名である。そこでのTangeline Dreamは,ドイツ人らしい観念的な世界観をシンセサイザーを使って流麗に表現している。例えば,大人の音楽としてピンク・フロイドの『狂気』が語られることもあるけど,それに近い受容のされ方も可能なほどのバランスの良い作品だ。しかし,この1stは・・・


 まず,シンセサイザーの類は使われていない。基本的にギター,ドラム,チェロにオルガン,フルートといったところ。そして奏でる音楽がこれまた独創的である。タイトルがタイトルなだけに瞑想という連想も可能だが,いやちょっと待て,この神経から直接流れ込んでくるような音像は,単なる瞑想か?


 音楽というのは,基本的に感情に訴えてくるものが多い。いや音楽に限らず,芸術全般がそうだ。しかし,20世紀,ポストモダーンの思想を受けて,芸術は多様化した。また2度の世界大戦は,人間の精神活動としての芸術から,これまで存在していた楽観主義の薄い膜を剥ぎ取ってしまった。1970年のドイツ,ここで鳴らされた音楽ともなんともいえない神経を逆なでする音の塊は,ある意味このグループを介して出現した20世紀であるとも言えないか。

 見過ごされがちだが,重要盤である。(ま,滅多に聴かないけど)



Klaus Schulze
Irrlicht

↑3人のメンバーの1人のKlaus Schulzeが,Ash Ra Tempelを経て出したソロ。


Conrad Schnitzler
Con Brio

↑同じく初期メンバーのConrad Schnitzlerのソロ。


Tangerine Dream
Alpha Centauri

↑Edgar FroeseにChristopher FrankeとPeter Baumannが加わった2nd。



 ドイツのロック畑における電子音楽は,Tangerine DreamとKraft Werk(Neu!やHarmoniaを生み出した)が源流と言える。これは面白い事実だと思う。